大衆と政治の心理学/若田恭二

1995年に出版された。この本以後、若田教授は政治学の道を外れていくことになる(終末の予感―われわれの時代の診断書/若田恭二 - takamiismの備忘録参照)。それは冗談だが、「終末の予感」(97年)、「『わたし』という幻想」(02年)と三冊合わせて、勝手に「若田三部作」と呼ぶことにしよう。
上記の二冊はエッセイ調だが、この本は、一番最初に書かれたからか、論文の形式である。量は最も多いが、論文なので、かえって読みやすいかもしれない。内容も、自然破壊や分裂症などには言及しておらず、「大衆」や「アイデンティティ」、そして「文化」や「マスメディア」などがテーマとなっている。ちなみに、政治の話に「少し」触れている章もある。
テーマはありきたりなので、私としては特に新しい発見はなかったが、面白かった。