エセー 第2巻/モンテーニュ

岩波文庫版・第2巻~第4巻に収録。 冒頭の第1章で、人間という存在の卑小さを、最後の第37章で、世間の移り変わりやすさから、世界の流転性へ目を向ける。 その間の章において、「理性に従う」「思考においては世間に逆らう」「喜びだけを求める」「医者嫌い…

エセー 第1巻/モンテーニュ

岩波文庫版・第1巻~第2巻に収録。 史上初のエッセイで、1570年ごろ~1592年にかけて書かれたもの。 詩や哲学者の言葉からの引用と、様々なエピソードの紹介がとても多く、具体的で、読みやすい。 冒頭の第1章で、人間という存在のはかなさを述べ、最後の第5…

遺された断想(1869年秋〜72年秋)/ニーチェ

白水社版全集・第1期第3巻に収録。 時期としては、バーゼル大学着任後から「悲劇の誕生」出版を経て、連続講演「われわれの教育施設の将来について」を行ったところまで。 「悲劇の誕生」と「われわれの教育施設の将来について」に関するメモ、走り書き、…

遺された断想(1872年夏〜74年末)/ニーチェ

白水社版全集・第1期第4巻に収録。 時期としては、「悲劇の誕生」出版後から、「反時代的考察 第3編」出版後まで。 やはり「反時代的考察」の草稿が多い。また、古代哲学に関するもの、ゲーテやヘルダーリンの抜き書きなども、印象に残った。 同時代に批…

遺された断想(1876年〜79年末)/ニーチェ

白水社版全集・第1期第8巻に収録。 時期としては、「反時代的考察 第4編」出版後から、「漂泊者とその影」出版まで。 「人間的な、あまりに人間的な」「さまざまな意見と箴言」「漂泊者とその影」のための下書きが多い。 また、80年代以降のニーチェに…

遺された断想(1880年初頭〜81年春)/ニーチェ

白水社版全集・第1期第11巻に収録。 時期としては、「漂泊者とその影」出版後から、「曙光」出版まで。 道徳や宗教の分析・批判から出発して、「認識に生きる」「すべてを力の発現として見る」「自己に配慮する」という倫理に至る、ニーチェの思考過程が…

遺された断想(1881年春〜82年夏)/ニーチェ

白水社版全集・第1期第12巻に収録。 時期としては、「曙光」出版後から、「華やぐ知恵」出版まで。 「永遠回帰」に襲われ、「神の死」「運命愛」「世界を力の発現と見る」といった、一連の概念が一気にまとまりを見せていく様子が、よくわかる。 同じ時期…

遺された断想(1888年5月〜89年初頭)/ニーチェ

白水社版全集・第2期第12巻に収録。 時期としては、「この人を見よ」「ニーチェ対ヴァ―グナー」「ディオニュソスを讃える歌」をまとめるまで。 最後の時期ということで、自分の人生を振り返り位置づけ直すもの、自分の哲学の総括、さまざまな著述のプラン…

遺された断想(1888年初頭〜88年夏)/ニーチェ

白水社版全集・第2期第11巻に収録。 時期としては、「ヴァグナーの場合」の執筆から「偶像の黄昏」「アンチクリスト」の完成前後まで。 この年に書かれる6作品のための断想が多い。特に、近代という時代を「デカダンス」としてまとめて、集中的に考察し…

遺された断想(1887年秋〜88年3月)/ニーチェ

白水社版全集・第2期第10巻に収録。 時期としては、「道徳の系譜」完成後から「ヴァグナーの場合」完成前まで。 まとまった著作の構想を練っており、「力への意志」や「価値転換」といった、さまざまなプランが残されている。 また、ボードレール、トルス…

遺された断想(1885年秋〜87年秋)/ニーチェ

白水社版全集・第2期第9巻に収録。 この時期に、「善悪の彼岸」、新たに序文を付した著作の再版、「道徳の系譜」が完成している。 そのための草稿やメモが、まずは多い。 それ以外には、これまでの近代人批判とキリスト教批判を、「ニヒリズム」として総括…

遺された断想(1884年秋〜85年秋)/ニーチェ

白水社版全集・第2期第8巻に収録。 この時期に、「ツァラトゥストラはこう言った」第4部が完成している。 そのため、断想の内容としても、第4部の草稿が多い。 そのほか、「ツァラトゥストラ」完成後とあって、再び、文化・文明・社会を射程にした近代人…

遺された断想(1884年春〜秋)/ニーチェ

白水社版全集・第2期第7巻に収録。 「ツァラトゥストラはこう言った」第3部完成後、第4部執筆までの時期にあたる。 主な内容は、次の通り。 ・「ツァラトゥストラ」が、第3部で完結したと考えたニーチェは、次の著作のプランを様々に構想している。「デ…

遺された断想(1883年5月〜1884年初頭)/ニーチェ

白水社版全集・第2期第6巻に収録。 時期としては、この間に、「ツァラトゥストラはこう言った」第2部と第3部が完成している頃の遺稿にあたる。 主な内容は、「ツァラトゥストラ」のための、長短さまざまなメモやアフォリズムで構成されている。 特に、こ…

遺された断想(1882年7月〜1883年夏)/ニーチェ

白水社版全集・第2期第5巻に収録。 時期としては、「華やぐ知慧」の出版後、「ツァラトゥストラはこう言った」第1部の完成直後までの遺稿にあたる。 主な内容は、「ツァラトゥストラ」や後の「善悪の彼岸」の草稿、メモ、走り書き、アフォリズムなどであ…

遺された著作(1870〜72)/ニーチェ

白水社版全集・第1期第1巻に収録。 前半は、「悲劇の誕生」の基礎になる、公開講演や論文が収録されている。 「悲劇の誕生」と比較すると、「エウリピデスやソクラテスの評価が作品によって微妙に異なる」「エピクロスなど、悲劇の誕生には登場しない名前…

悲劇の誕生/ニーチェ

白水社版全集・第1期第1巻に収録。1872年の作品。 再版の際に、タイトルから「音楽の精霊からの」を削り、「あるいはギリシア精神と悲観論」を追加。本文冒頭に、「自己批判の試み」を加筆している。 内容は、3パートに分けて捉えることができる。 まず、…

アンチクリスト/ニーチェ

白水社版全集・第2期第4巻に収録。1888年の作品。 著作として計画された「あらゆる価値の価値転換」第1編として、書かれたもの。 内容としては、前半は、「われら極北の民」と「不潔な近代性」の対比から始まり、畜群、キリスト教の同情、ドイツ哲学、プ…

華やぐ知慧/ニーチェ

白水社版全集・第1期第10巻に収録。1882年に出版。 全体の構成は、1887年の再版の際に書き足された「序文」、思想のエッセンスを詩として表現した「序曲」、「曙光」から続く「力」の観点から人間のタイプを描く「第1編」、音楽や言葉といったテーマから…

偶像の黄昏/ニーチェ

白水社版全集・第2期第4巻に収録。1888年の作品。 晩年の、ニーチェが著述を行った最後の年の作品のため、非常に激しい言葉による批判が行われている。具体的には、ソクラテス・プラトンやキリスト教から、ショーペンハウアーに至る哲学者や、ドイツ音楽や…

曙光/ニーチェ

白水社版全集・第1期第8巻に収録。1881年に出版。 構成としては、前作「人間的な」と同じになっている。 まず、「道徳」や「共同体」、キリスト教とその中核としての「同情」「利他主義」、それらを受け継ぐ「ドイツ的」「近代的」なものが批判され、別な…

人間的な、あまりに人間的な 下/ニーチェ

白水社版全集・第1期第7巻に収録。もともと、第1部「さまざまな意見と箴言」は1879年、第2部「漂泊者とその影」は1880年に出版*1されていて、それらを合本したもの。 下巻であるからには当然のことだが、上巻から引き続き登場する要素も多く、連続性が確…

人間的な、あまりに人間的な 上/ニーチェ

白水社版全集・第1期第6巻に収録。1878年、「ヴォルテール没後100年」に寄せて出版。 すべてを冷めた目で見つめること、人間的なものを「吟味」する「科学」的「認識」を目標にした著作。 後期へとつながる「同情」「善悪の起源」「距離」「舞踏」「病気」…

遺された断想(1875年初頭〜1876年春)/ニーチェ

http://www.hakusuisha.co.jp/detail/index.php?pro_id=01949 白水社版全集・第1期第5巻に収録。タイトル通り、1875年から76年の遺稿。 まずは、「われら文献学徒」のメモが続く。これは、当初「反時代的考察」第4編として予定されていたもの。「民族」や…

イナイ×イナイ/森博嗣

kazy氏から。Xシリーズ第1弾。 「美しい依頼人」「古くて大きな屋敷」「行方不明の兄」「地下牢」「双子」「後妻」などなど、いかにもな舞台や設定を使っている。古風な感じがした。 主人公たちは、「ライ麦畑で増幅して」や「ηなのに夢のよう」に登場して…

反時代的考察 第4編/ニーチェ

http://www.hakusuisha.co.jp/detail/index.php?pro_id=01949 白水社版全集・第1期第5巻に収録。第3編から約2年後、1876年に出版。 タイトルにある通り、「バイロイトにおけるリヒャルト・ヴァーグナー」について論じられている。 今巻において「ヴァー…

ミツヨシ 完結編(下)/上山徹郎

http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-782341-7 読んだ。上巻からの続きで、これにて完結。 胸冬との戦闘と、残りの虫幽士を倒すまで。残り6人の虫幽士のうち、ミツヨシが倒したのは3人で、胸冬が1人、仲間割れで1…

マルドゥック・スクランブル 1st〜3rd 完全版/沖方丁

http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/21014.html kazy氏から。私は未見だが、1stの部分は現在映画化されている。 一度焼き殺された少女・バロットが人工皮膚によって復活し、戦いを挑む話。 全体としてはSF作品ではあるが、2ndの後半から3r…

今日のお買い物

・ミツヨシ 完結編(下)/上山徹郎 11ヶ月ぶり。ようやく終わるらしい。

とある魔術の禁書目録 第1巻〜第6巻/近木野中哉

http://d.hatena.ne.jp/asin/475752157X/clearsilence-22 柳氏から。 「超電磁砲」を読んだため、とりあえず本家もおさえておくことに。 1〜2巻は、導入部にあたる。3〜4巻は、「超電磁砲」4巻以降と時系列が重なる話。5巻は、夏休み最後の日の上条当…