スピノザ 「無神論者」は宗教を肯定できるか/上野修

http://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=0130&webCode=00093332006


若田教授から借りた。「神学政治論」の入門書。100ページほどの分量で、読みやすい。
上野氏が説明するにあたって用いている「文法」というのは、ウィトゲンシュタインのものか。それはともかく、スピノザは哲学と神学は「文法」が異なるという理由から分離を主張する。そして、聖書を信じはしないが、受け入れるという。


「無関係であることによって聖書の信仰を信仰自身のために全面肯定するという、スピノザに独特のスタンスがある。(中略)言われている事柄が真だからではなく、その文法的正しさゆえに受け入れるのである」


それから、次の文章が気に入った。


「そう、モーセは君主ではなかったし、どんな君主もモーセではない。『神の国』の再興という総督派のファナチックな言説をスピノザは『神の国』の論理によって脱臼させる。ここがすでに神の国なのだ」