スピノザ往復書簡集

http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/33/1/3361570.html


若田教授から。19人の人間とのやりとりが収められている。
自然科学に関する意見のやり取りもある*1が、スピノザ独自の哲学・倫理学に関するやり取りも多い。質問に対してスピノザはかなり具体的に答えているので、色々と参考になった。ひょっとしたら、これを一番最初に読むのがいいかもしれない。
ちなみに、ライプニッツとのやり取りも入っている。それから、スピノザに師事していたが、後にカトリックに改宗した人間からの書簡もあった。しかも2人も(書簡67、67の2)。その内の1人に対して、スピノザは数ヵ月後に返事を書いているが、それによると返事をする気はなかったらしい*2。しぶしぶ書いたわりには、カトリックをボロクソに言っていますが(笑)
私としては、「永遠」とは「存在の(中略)無限なる享受」という箇所(書簡12)や、「エチカ」の間接無限様態(の一つ)は「無限の仕方で変化しながらも常に同一に止まる全宇宙の姿」という箇所(書簡64)が気になった。最近ハイデガーの「ニーチェ」にある「永遠回帰」について考えているのだが、このあたりと類似しているような気がする。

*1:例えば、オルデンブルクを通じてボイルと論争している(書簡1など多数)

*2:周囲の人に懇願されて書いたようだ。書簡76