神学・政治論/スピノザ

http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/33/2/336151+.html


若田教授から。今年の春に流し読みはしていたのだが、そのまま放置していた。
聖書の解釈をふまえつつ*1この書でスピノザが主張するのは、「哲学と神学の分離*2」「国家の宗教に対する優位性*3」「社会契約思想の否定(と同時に肯定)*4」「言論の自由*5」の4点であると思われる。
スピノザ自身が言うように、この神学・政治論では具体的な政治*6の在り様については記述されていない。それは、最後の著作「国家論」(未完)において明かされることになる。
なお、生前に出版したものなので、言い回しが非常に冗長で読みにくい。
これでスピノザの主要著作はすべて読んだことになる。卒論でスピノザについて書こうと意気込んでいたが、読めば読むほど、それは遠い夢になりつつあるような気がする・・・。

*1:大量に引用されている

*2:とはいえ、「分離するべきだ」ではなく、「分離してしまっている(にもかかわらず人々はごっちゃにしてしまっている)」という主張であると思う

*3:その意味で、いわゆる「政教分離」を主張しているわけではない

*4:一見肯定しているように見えるが、前半の聖書解釈の部分の主張をふまえれば、否定しているように思う。そして、ここがスピノザらしさ(=徹底的な現実主義)なのだが、嘘っぱちであるがゆえに肯定するのである。詳しくは「国家論」参照。

*5:まぁ、言いたい事が言えないとスピノザ自身も困るわけで。と同時に先の「社会契約思想の否定」と同様に捉えることもできるのではないか。

*6:あくまでスピノザの「政治」。