この人を見よ/ニーチェ

http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/33/5/3363960.html


若田教授から。ニーチェについては、断片としてはそれなりに知っているのだが、実は一冊を通して読んだ事がなかった。というわけで、最初の一冊目は、自伝を選んでみた。実質的には、ニーチェの最後の本。タイトルの意味は、ずばり「オレのことを語ろう」。この偉そうな感じ、嫌いではない(笑)
薄く、最晩年のものなので、ちょうどよい入門書になっている。なにより、ニーチェニーチェについて書いているので、間違いはない(ただし、史実と異なる記述はある)。
ニーチェによると、自分が言った事は、「あらゆる価値の価値転換」と「永遠回帰」の2点に尽きるという。
私の気に入ったものを、いつも通り、いくつか引用しておこう。一番最後の引用が、私は一番好きだ。


「誤謬(−理想への信仰−)を生むのは盲目ではない。臆病である・・・認識における成果と前進はすべて、勇気から、自己にたいする苛烈さから、自己にたいする潔癖から生じるのだ」(10頁)


「自分自身を一個の運命のように受けとること、自分が『別のありかた』であれと望まぬこと−−これが、そのような状態においては、偉大な理性そのものなのである」(33頁)


「わたしの場合は、精神は水の上に漂うのだ」(46頁)


「およそ存在するものであるかぎり、何一つ排除してよいものはなく、何一つ無用なものはない」(97頁)


「わたしは人間ではない。わたしはダイナマイトだ」(179頁)