道徳の系譜/ニーチェ

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若田教授から。3つの論文から成る。「キリスト教道徳、そしてそれを受け継ぐ近代主義は、畜群道徳である!」ということ。これに尽きる。
いつもの通り、いくつか引用しておこう。なお、上のリンクは岩波文庫のものだが、私が読んだのは白水社版である。


「いつまでたってもわれわれはまさに必然的にわれわれ自身にとって、赤の他人である。われわれは自分を理解しない。自分を取り違えざるをえない。われわれには、『各人は自分に最も遠し』という命題が永遠にあてはまる」(はしがき・第1節)


「貴族主義的な価値の方程式(善い=高貴な=力強い=美しい=幸福な=神に愛せられる)」(第1論文・第7節)


「自己自身に帰るかわりに、(中略)止むを得ずして、外に向かうこと−−これこそ『怨恨』の本性なのだ」(第1論文・第10節)


スピノザといえば、善も悪も人間の勝手な想像だときめつけた哲人だ、そして、瀆神者たちに対して憤然として彼の『自由な』神の名誉を守りぬいた哲人である(中略)スピノザにとっては、世界はふたたび、あの良心の呵責などというものが発明されなかった以前の無垢の状態に帰っていた」(第2論文・第15節)


「およそ精神が語るとき、その精神のもっている声音に耳を傾けるがよい」(第3論文・第8節)