遺された断想(1885年秋〜87年秋)/ニーチェ

白水社版全集・第2期第9巻に収録。
この時期に、「善悪の彼岸」、新たに序文を付した著作の再版、「道徳の系譜」が完成している。
そのための草稿やメモが、まずは多い。
それ以外には、これまでの近代人批判とキリスト教批判を、「ニヒリズム」として総括し、まとめ直している。
また、認識や存在について、集中的に考察されている。その内容は、「全体と個のシステム性、語りえぬもの、自己への配慮」、この3点にまとめることができる。


「お前は思想家として自分の文章に忠実な存在であるか?」(1番107節)


「自己自身を産出する芸術作品としての世界」(2番114節)


「周囲からの愛に対して、そうと意図せずとも不信の念を抱き、自己を守り、沈黙を学ぶ。…ついには十分に強くなって、『わたしはおまえたちとなんのかかわりがあろう』と言って、自分の道を行くようになるのを待つ」(7番6節)


「このひとつの出来事を引き出すためにはいっさいの永遠が必要だった」(7番38節)