遺された断想(1888年5月〜89年初頭)/ニーチェ

白水社版全集・第2期第12巻に収録。
時期としては、「この人を見よ」「ニーチェ対ヴァ―グナー」「ディオニュソスを讃える歌」をまとめるまで。
最後の時期ということで、自分の人生を振り返り位置づけ直すもの、自分の哲学の総括、さまざまな著述のプランが、主な内容である。


「死ぬことは決まっている、どうして愉快にやろうとしない?」(20番13節)


「彼は自己を一瞬たりとも忘れなかった。彼が別人になることは決してなかった。彼は誰が何と言おうと、また誰ひとりいないところでさえも、自己を失うことがなかった。それには単に自己に対する厳しさと率直さの完璧な習慣が必要であるばかりではない。社会や書物や偶然なりの影響の下で堕落しないための、大いなる抵抗力が必要である」(21番8節)