遺された断想(1880年初頭〜81年春)/ニーチェ

白水社版全集・第1期第11巻に収録。
時期としては、「漂泊者とその影」出版後から、「曙光」出版まで。
道徳や宗教の分析・批判から出発して、「認識に生きる」「すべてを力の発現として見る」「自己に配慮する」という倫理に至る、ニーチェの思考過程が、よくわかる。


「世間にはびこる偏見が逆説的に聞こえ始めない人間は、まだ十分にものを考えたとは言えない」(3番72節)


「人生を楽しむこと。多くのものを消費しない。満足する。荷物をできるだけ少なくする。・・・酒は飲まない。一言で言えば、哲学的であること。労働は生活のために必要な範囲に限る。すべてを嘲笑する」(7番97節)


「子供のように踊り跳ねることができるようになるまで、人間的、社会的、道徳的な絆を断ち切る」(8番76節)