第7回「獄卒SS企画」 感想

「日々が、何か新しいことを教えてくれる」(エウリピデス断片945)


http://kazy111.info/archive/ss/


『彼がやりませんでした』
今回は、われわれの感想配信は、ありません。ご了承ください。


『はじめに』
この感想は、8月25日までに投稿されている作品について、9月1日から9月15日の期間に、作成しました。
他の人の感想を読む前に、感想配信を聴く前に、書いたものです。


『夏、淡彩死』
1mmさんの作品、その1。
登場人物が2人だけで、その関係性を描いている。いわゆる、「1mmさんの例のヤツ」である。何を言っているか、よくわからない人は、これまでに投稿された1mmさんの作品を読んでみよう。
教室での会話を切り取っている。そこに描かれている様子から、わかることもあれば、描かれていないこともある。お嬢様と執事は、普段、どんな会話をしているのだろうか。他の人とは、どんなふうに話をしているのだろうか。色々と、想像させてくれる。


『金魚鉢で窒息する様な、』
1mmさんの作品、その2。2作品も投稿するなんて、どうなっているんだ、まったく。
登場人物が2人だけで、その関係性を描いている。いわゆる(以下略)
放課後の、夕方の屋上を切り取っている。その切り取り方が、素晴らしい。もう先へは進めない屋上、太陽の沈みつつある夕方、誰もいない放課後。
それにしても、どうして「考えないこと」にしたのか。この2人が同性だから、という説を思いついた。どうだろうか。違うと思う。


『要塞』
私が書きました。文字数制限をオーバーしたため、分割して投稿した。許せ。
何が嫌なのか、と自分に問いかけたところ、続編を書くのは嫌だ、と言う。どの作品の続編を書くのが嫌なのか、と問うと、前回の、と答えた。
そういうわけで、第6回に投稿した「暴君」の続編になる。とはいえ、「暴君」を読んでいなくても、内容がわかるように、書いた。書いたつもりだが、はてさて。
いつも通り、「一読して、内容が理解できる」ことと、「繰り返し読んでもらえるように、書く」こと、この2点を考えながら、書いた。書いたつもりだが、はてさて。


「追記・1mmさんの感想を読んで」
べ、別に、1mmさんが続編を読みたいって言ったことをきっかけに書いたわけじゃないんだからね!
「要塞」を読んで、深読みしたり、色々と妄想してもらったようで、何よりです。
前作である「暴君」では、「部活の先輩は、風変わりな人だ」ということを書いたつもりです。それを踏まえて、今回の「要塞」では、「でも、読書部などという部活に入る後輩も、普通一般の人間ではないぞ」ということを考えて、書きました。
パラレル二次創作は、読んでみたいので、書いてください。パラレルなので、解釈違いが生じることは、まったく問題ないと思います。1mmさんの描く、少し違う大宮さんや先生には、とても興味があります。読んでみたいので、書いてください。


「追記・ルフさんの感想配信を聴いて」
毎回、結末をどうするか、考えずに書いています。「要塞」の場合も同様で、ラストシーンは、書いている途中で思いついたものを、採用しました。「最初にオチを決めてから、書く」という方法では、私は書くことができないようです。「オチを思いつけば、書くことができる」というルフさんとは、正反対ですね。
毎回、テーマについては、よく考えて、自分に素直になって、書くようにしています。今回の「日常」というテーマについては、「何も起きない」という点を常に念頭に置いて、書きました。
タイトルである「要塞」は、読書部と大宮さん、その両方を指しております。


『出社25分前』
たにんさんの作品。
会社に行くために、家を出るまでの様子を描いている。
句読点が少なく、一文が長い。そのことによって、出社するための準備をしてはいるが、会社に行きたくないと思っていることが、よくわかる。
行きたくないから、過去を回想する。行きたくないから、細かいことが気になる。
ところで、洗濯物を洗濯機に入れたままにすると、後でふたを開けた時、くさいよね。そうでもないか。


『鳴かぬ蛍は灯と灯を結び、鐘の音の雫に身を焦がす。』
1mmさんの作品、その3。3作品も投稿するなんて、1mmは化け物か。
登場人物が3人で、それぞれの視点で1章ずつ、語られる。
それぞれ、考えていること、思っていることは、重なっているけれど、ずれている。同じではない。同じではないけど、似ている。似ているけど、少し違う。それでも、人と人は、共に生きていくことができる。


『ROCK CAFE』
赤井二人さんの作品。
鉄板を囲んで、ネギやトウモロコシを食べながら、人生を振り返る。
三人称と一人称で書かれた地の文が、織り交ぜられている。そうすることで、何度か顔を出す、メタ的文章が効果を発揮する。
人生を思い、時空を超える。人称を混ぜて、文の枠を越える。超越することで、相対的に見る。


『通勤時間帯の幽霊』
ルフさんの作品。
通勤電車に乗っている残留思念と出会って、その思念が消えるまで、が描かれている。
会社に行き、家に帰るという日常を、幽霊のような残留思念が語る非日常。第4章までの謎の提示と、第5章での種明かし。二重の二段構造になっている。種明かしの最後で、もう一度逆転して、日常に戻ってくる構成に、作者の優しさを見た。
人生という電車に乗っている。それを途中で降りた彼は、一度は死んだ。そして、朝焼けの輝きの中で、生まれ変わったのだ。