遺された断想(1884年秋〜85年秋)/ニーチェ

白水社版全集・第2期第8巻に収録。
この時期に、「ツァラトゥストラはこう言った」第4部が完成している。
そのため、断想の内容としても、第4部の草稿が多い。
そのほか、「ツァラトゥストラ」完成後とあって、再び、文化・文明・社会を射程にした近代人批判が繰り広げられている。のちの「善悪の彼岸」や「道徳の系譜」につながるアフォリズムが残されている。
また、著作のプランとして、「力への意志」が初めて登場する。詩集の計画も立てている。
多種多様な著作のプランが浮かんでは消えていく様子を追いかけることができて、興味深い。


「神に対する畏敬とはあらゆる事物が連関していることに対する畏敬であり、人間より高級な存在についての確信である。・・・芸術家は神々の彫刻家である」(29番18節)


「自分の死を予め楽しんでいる者のように快活に」(30番9節)


「あなたの孤独を雑踏の中に一緒にもってゆくことを忘れるな」(31番38節)


「人生は目ざめている夢である」(34番246節)


「完全に沈黙するためには語ることを学ばねばならない」(34番232節)